
ハザードマップを見たことはありますか?
住まい探しでは、
- ・家賃や価格
- ・間取り
- ・駅までの距離
- ・築年数
- ・周辺の買い物環境
などに目が向きがちです。
しかし、長く安心して暮らすためには、災害時にどのようなリスクが想定されている場所なのかを確認することも大切です。
そのために役立つのが、ハザードマップです。
ハザードマップには、洪水や浸水、土砂災害などが発生した場合に、被害が想定される区域や避難に関する情報が掲載されています。
ただし、地図に色が付いているかどうかだけを見て判断するのではなく、
- ・何の災害を示す地図なのか
- ・どの程度の被害が想定されているのか
- ・どこへ避難するのか
- ・どの道を通るのか
まで確認することが重要です。
今回は、板橋区で暮らす方や住まい探しをしている方に向けて、ハザードマップの基本的な見方を詳しく解説します。
結論|ハザードマップは「危険か安全か」を決める地図ではない
ハザードマップを見るときに覚えておきたいのは、色が付いている場所を単純に「住めない場所」と判断するための地図ではないということです。
ハザードマップは、
想定される災害を知り、事前に備えるための地図です。
確認するときは、次の4つをセットで見ましょう。
- ・どの災害の地図なのか
- ・想定される被害の程度
- ・自宅や検討物件の位置
- ・避難場所と避難経路
また、色が付いていない場所でも、災害が絶対に起きないことを保証するものではありません。
ハザードマップだけでなく、建物の構造や階数、周辺道路、過去の浸水履歴なども含めて総合的に確認することが大切です。
板橋区で確認できる主なハザードマップ
板橋区では、主に次の防災マップ・ハザードマップを確認できます。
- ・洪水ハザードマップ
- ・高潮ハザードマップ
- ・土砂災害ハザードマップ
- ・防災マップ(地震・大規模火災)
板橋区の2026年版冊子には、これらの防災情報がまとめて掲載されています。Web版でも住所周辺を確認できます。
それぞれ想定している災害が異なるため、一つだけではなく複数の地図を確認しましょう。
① 洪水ハザードマップの見方
洪水ハザードマップは、大雨によって川が増水し、氾濫した場合などに想定される浸水範囲や浸水の深さを示した地図です。
板橋区では、荒川の氾濫を想定した地図に加え、集中豪雨による浸水を確認する地図などがあります。荒川氾濫版は、荒川流域で最大規模の降雨があった場合の想定に基づいて作成されています。
※最初に「何の洪水か」を確認する※
同じ洪水ハザードマップでも、想定している原因が異なります。
※荒川の氾濫※
長時間の大雨などで荒川の水位が上昇し、堤防の決壊や越水などが発生した場合の想定です。
※集中豪雨による浸水※
短時間に大量の雨が降り、排水能力を超えた雨水が道路や低い土地にたまる場合の想定です。
荒川から離れているから水害の心配がないとは限りません。
河川の氾濫だけでなく、集中豪雨による浸水も確認することが大切です。
※浸水深の色を確認する※
洪水ハザードマップでは、色分けによって想定される浸水の深さが示されています。
凡例は地図ごとに確認する必要がありますが、一般的には次のようなイメージです。
| 想定浸水深 | 建物で考えたときの目安 |
|---|
| 0.5m未満 | 道路冠水や床下浸水などに注意 |
| 0.5m以上3m未満 | 1階部分が浸水する可能性 |
| 3m以上5m未満 | 2階部分まで浸水する可能性 |
| 5m以上 | 2階より上まで達する可能性 |
ただし、実際の建物の高さや地盤面によって状況は異なります。
「何色か」だけを見るのではなく、凡例に書かれた浸水深を数字で確認しましょう。
※浸水継続時間も確認する※
浸水深とあわせて確認したいのが、浸水継続時間です。
これは、浸水した状態がどの程度続くと想定されているかを示すものです。
板橋区のWeb版では、荒川氾濫時の浸水深だけでなく、浸水が続く時間や家屋倒壊等氾濫想定区域も確認できます。
浸水が長期間続く地域では、
- ・電気や水道が使えない
- ・エレベーターが停止する
- ・外出や物資の受取りが難しくなる
- ・自宅にとどまれない
といった状況も考えられます。
高層階に住んでいるから安心と考えるのではなく、建物全体の停電や断水、孤立の可能性まで想定することが大切です。
※家屋倒壊等氾濫想定区域とは?※
洪水ハザードマップには、通常の浸水区域とは別に、家屋倒壊等氾濫想定区域が表示されることがあります。
これは、強い水の流れや河岸の侵食によって、木造住宅などが倒壊・流失する危険性があると想定される区域です。
単に水が入るだけでなく、建物そのものへの影響が想定されるため、区域内では早い段階での避難を考える必要があります。
② 集中豪雨による浸水を確認する
近年は、短時間に激しい雨が降るケースも珍しくありません。
集中豪雨では、川が氾濫していなくても、
- ・下水道や排水路の処理能力を超える
- ・道路の低い部分に水が集まる
- ・地下室や半地下に水が流れ込む
- ・アンダーパスが冠水する
といった被害が起こる可能性があります。
特に確認したいのは、
- ☑周辺より低くなっている土地
- ☑坂道の下
- ☑地下住戸や半地下住戸
- ☑地下駐車場
- ☑1階の出入口
- ☑道路より床面が低い建物
です。
内見の際には、建物だけでなく周囲の道路の高さや傾斜も確認しましょう。
③ 高潮ハザードマップの見方
高潮とは、台風や低気圧の影響によって海面が上昇し、河川などを通じて内陸部に浸水が広がる現象です。
板橋区は海に面していませんが、荒川などを通じた高潮の影響が想定される区域があります。
板橋区では、高潮による浸水範囲と浸水深、浸水継続時間を確認できる高潮ハザードマップを公開しています。2026年公開のWeb版は、2025年12月時点の内容です。
洪水ハザードマップと似ていますが、想定している原因が異なります。
住まいを確認するときは、
- ・洪水
- ・集中豪雨
- ・高潮
をそれぞれ分けて確認しましょう。
④ 土砂災害ハザードマップの見方
板橋区には平坦な地域だけでなく、高低差や崖、急傾斜地がある地域もあります。
土砂災害ハザードマップでは、主に次の区域を確認できます。
※土砂災害警戒区域・イエローゾーン※
土砂災害が発生した場合に、住民の生命や身体に危害が生じるおそれがある区域です。
※土砂災害特別警戒区域・レッドゾーン※
土砂災害によって建物が損壊し、住民の生命や身体に著しい危害が生じるおそれがある区域です。
建物の構造規制や開発に関する制限が設けられる場合があります。
板橋区では、2026年3月25日時点で、土砂災害警戒区域152か所、土砂災害特別警戒区域118か所が公示されています。区境をまたぐ指定区域もあります。
崖や斜面の近くにある物件では、
- ・建物が区域内に入っているか
- ・敷地の一部だけが入っているか
- ・避難経路が斜面沿いになっていないか
- ・擁壁の状態はどうか
を確認しましょう。
⑤ 地震・大規模火災の防災マップを見る
地震への備えでは、浸水深のような色だけでなく、
- ・避難所
- ・避難場所
- ・給水拠点
- ・防災関連施設
- ・大規模火災時の避難先
などを確認します。
板橋区の防災マップには、避難所・避難場所・給水拠点施設などが掲載されています。
ここで注意したいのは、避難所と避難場所は役割が異なることです。
※避難所※
災害によって自宅で生活できなくなった方が、一時的に生活する場所です。
板橋区では、区立小・中学校などが指定され、基本的には体育館が避難者の居住スペースになります。
※避難場所※
大規模な火災などから身を守るため、一時的に避難する広い場所です。
災害の種類によって向かう場所が異なる場合があるため、「最寄りの学校へ行けばよい」と決めつけず、事前に確認しておきましょう。
ハザードマップの基本的な見方5ステップ
ステップ① 住所を正確に検索する
最初に、現在の自宅や検討している物件の住所を入力します。
同じ町名でも、丁目や番地によって表示が変わることがあります。
駅単位や町名単位ではなく、できるだけ番地まで確認しましょう。
ステップ② 災害の種類を切り替える
次に、
- ・荒川氾濫
- ・集中豪雨
- ・高潮
- ・土砂災害
- ・地震・大規模火災
など、災害の種類を切り替えて確認します。
一つの地図で色が付いていなくても、別の災害では対象区域になっている場合があります。
ステップ③ 色と凡例を照らし合わせる
地図に色が付いていたら、凡例を確認します。
同じ黄色や赤でも、地図によって意味が異なることがあります。
色の印象だけで判断せず、
- ・浸水深
- ・浸水継続時間
- ・警戒区域の種類
を文字と数字で確認しましょう。
ステップ④ 避難先を確認する
自宅や物件の近くにある避難所・避難場所を確認します。
ただし、最も近い施設が、すべての災害で利用できるとは限りません。
風水害時には、降雨や河川の状況によって開設される避難所が異なります。
災害発生時は、板橋区が発表する開設状況を確認しましょう。
ステップ⑤ 避難経路を実際に歩く
地図上で避難所を確認するだけでは十分ではありません。
実際に歩いて、
- ・坂道があるか
- ・狭い道路を通るか
- ・ブロック塀が多くないか
- ・川や崖の近くを通らないか
- ・冠水しやすそうな低い道がないか
- ・ベビーカーや高齢者でも移動しやすいか
を確認しましょう。
昼間だけでなく、夜間や雨天時を想像して歩くことも大切です。
住まい探しで確認したい7つのポイント
ハザードマップを確認したうえで、物件ごとに次の点も確認しましょう。
① 部屋の階数
浸水が想定される地域では、1階か上階かによって室内への影響が異なります。
ただし、上階でも停電・断水・エレベーター停止などの影響を受ける可能性があります。
② 建物の構造
木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造など、建物の構造によって災害時の影響は異なります。
築年数だけでなく、耐震基準や建物の管理状態も確認しましょう。
③ 電気設備の位置
マンションでは、受変電設備や機械式駐車場などが地下や1階に設置されている場合があります。
室内が浸水しなくても、共用設備が被害を受けると生活に影響する可能性があります。
④ 地下・半地下の有無
地下住戸や半地下住戸、地下駐車場がある物件は、豪雨時の排水設備や止水対策を確認しましょう。
⑤ 道路との高低差
建物の入口が道路より低い場合は、雨水が流れ込みやすくなる可能性があります。
玄関前の段差や排水溝、止水板の有無も確認したいポイントです。
⑥ 過去の浸水履歴
ハザードマップは将来の想定を示すものであり、過去の被害履歴とは異なります。
板橋区では浸水履歴に関する情報も案内しています。検討物件の周辺について、不動産会社や管理会社へ確認するのも一つの方法です。
⑦ 避難しやすさ
小さな子ども、高齢者、ペットがいる家庭では、避難に時間がかかることがあります。
避難所までの距離だけでなく、家族全員が安全に移動できる経路かを確認しましょう。
ハザードマップに色が付いていたら住まない方がいい?
色が付いているからといって、一律に住めないわけではありません。
板橋区内でも、交通利便性や生活環境が良く、多くの方が暮らしている地域に浸水想定が示されていることがあります。
大切なのは、想定されるリスクを理解したうえで、
- ☑部屋の階数
- ☑建物の構造
- ☑避難計画
- ☑日頃の備蓄
- ☑家族構成
- ☑災害時の連絡方法
などを考えることです。
一方で、災害リスクに対する考え方は人によって異なります。
物件の条件が良くても不安が残る場合は、別の地域や物件と比較して判断しましょう。
色が付いていなければ絶対に安全?
ハザードマップで色が付いていない場所でも、絶対に安全という意味ではありません。
想定を超える雨が降る可能性や、排水設備の詰まり、局地的な冠水など、地図にすべての状況が反映されるとは限りません。
また、地震や火災、停電など、洪水以外のリスクもあります。
ハザードマップは、住まい選びの判断材料の一つとして活用しましょう。
賃貸物件を借りるときの確認ポイント
賃貸の場合は、次の点を不動産会社へ確認してみましょう。
- ・ハザードマップ上の位置
- ・過去に浸水したことがあるか
- ・1階や地下への浸水対策
- ・避難所の場所
- ・共用設備の設置階
- ・災害時の管理会社への連絡方法
- ・火災保険・家財保険の補償内容
家財の水災補償が付いているかどうかは、契約する保険によって異なります。
保険料だけでなく、補償対象や免責条件も確認しましょう。
住宅を購入するときの確認ポイント
購入の場合は、長期間所有することを前提に、より詳しく確認する必要があります。
- ・土地と建物の位置
- ・敷地の高低差
- ・建物の構造・耐震性
- ・地下設備や電気設備の位置
- ・マンション管理組合の防災対策
- ・修繕履歴
- ・防災備蓄
- ・火災保険・地震保険の内容
- ・将来売却するときの影響
マンションの場合は、専有部分だけでなく、エントランス・駐車場・受変電設備などの共用部分も確認しましょう。
災害に備えて家族で決めておきたいこと
ハザードマップを見た後は、実際の行動につなげることが大切です。
家族で次のことを話し合っておきましょう。
- ・どのタイミングで避難するか
- ・どこへ避難するか
- ・家族が離れているときの集合場所
- ・連絡が取れないときの方法
- ・ペットをどう避難させるか
- ・非常用持出袋をどこに置くか
- ・車で避難するか徒歩で避難するか
災害時は、通信がつながりにくくなることがあります。
電話だけに頼らず、複数の連絡方法を考えておくと安心です。
日頃から準備しておきたいもの
災害に備えて、次のようなものを準備しておきましょう。
- ☑飲料水
- ☑保存食
- ☑モバイルバッテリー
- ☑懐中電灯
- ☑携帯ラジオ
- ☑常備薬
- ☑簡易トイレ
- ☑衛生用品
- ☑現金
- ☑本人確認書類の控え
- ☑乳幼児用品
- ☑ペット用品
ライフラインの停止に備え、普段使っている食品を少し多めに購入し、使いながら補充するローリングストックも有効です。
板橋区のハザードマップはどこで確認できる?
板橋区の公式ホームページでは、
を確認できます。
また、国土交通省・国土地理院のハザードマップポータルサイトでは、洪水・土砂災害・土地の特徴など、複数の情報を重ねて表示できます。
情報は更新されることがあるため、住まいを契約・購入する前や避難計画を見直す際には、最新の公式情報を確認しましょう。
不動産会社目線の本音
住まい探しの際、
「この地域は安全ですか?」と聞かれることがあります。
しかし、災害について「絶対に安全です」と断言できる地域はありません。
同じ地域でも、
- ・道路より高い建物
- ・半地下の住戸
- ・1階の住戸
- ・高層階の住戸
では、考えられる影響が異なります。
また、ハザードマップで同じ色に見えても、浸水深や継続時間、避難経路、建物の構造によって備え方は変わります。
大切なのは、
ハザードマップを見て不安になることではなく、想定されるリスクを知って備えることです。
住まいを探すときは、家賃や間取りだけでなく、防災面も含めて物件や街を比較することをおすすめします。
よくある質問(FAQ)
Q. 板橋区では、どのハザードマップを確認すればよいですか?
洪水・集中豪雨・高潮・土砂災害・地震や大規模火災に関する防災マップをそれぞれ確認しましょう。一つの地図だけではなく、災害の種類を切り替えて見ることが大切です。
Q. ハザードマップに色が付いている物件は借りられませんか?
借りることは可能です。色が付いているから住めないという意味ではありません。浸水深や建物の階数、構造、避難方法などを確認して総合的に判断しましょう。
Q. マンションの高層階なら洪水時も安全ですか?
室内への直接的な浸水リスクは低くなる可能性がありますが、停電・断水・エレベーター停止・共用設備の故障などの影響を受ける場合があります。
Q. 荒川から離れていれば水害の心配はありませんか?
河川の氾濫だけでなく、集中豪雨による道路冠水や内水による浸水が起こる可能性があります。荒川氾濫版と集中豪雨版の両方を確認しましょう。
Q. 避難所は最も近い学校へ行けばよいですか?
災害の種類や状況によって、開設される避難所が異なることがあります。平常時に候補を確認し、災害時は板橋区の最新情報を確認してください。
Q. ハザードマップに色がなければ安全ですか?
絶対に安全という意味ではありません。想定を超える災害や局地的な冠水、地震、火災なども考えられるため、日頃から備えておくことが大切です。
Q. 内見時に防災面で確認することはありますか?
道路との高低差、建物入口の位置、地下・半地下の有無、避難経路、周囲の崖や川、共用設備の位置などを確認するとよいでしょう。
まとめ
板橋区で暮らすなら、住まいを決める前に次の情報を確認しておきましょう。
- ☑荒川氾濫による洪水
- ☑集中豪雨による浸水
- ☑高潮
- ☑土砂災害
- ☑地震・大規模火災
- ☑避難所・避難場所
- ☑避難経路
ハザードマップは、地域を危険か安全かに分けるためのものではありません。
想定される災害を知り、家族構成や建物の特徴に合わせて備えるための情報です。
住まい探しでは、物件の住所を正確に確認し、災害の種類ごとに地図を切り替え、浸水深・継続時間・避難先まで確認しましょう。
板橋区で賃貸物件や購入物件をお探しの方は、交通アクセスや生活環境だけでなく、防災面も含めて街や物件を比較することが、安心できる住まい選びにつながります。











